
地下から涌現する「地涌菩薩」とは、とりもなおさず、シャンバラの帝王「サナト・クマーラ」を暗示している。
古代よりチベットに伝わる地底王国「シャンバラ」は、インドの『ヴィシュヌ・プラーナ』に描かれるシャンバラ島の伝説を継承したものだが、シャンバラについて最も体系的に書かれているのが、仏教の最終経典と呼ばれるチベット密教の『カーラチャクラ・タントラ』である。
『カーラチャクラ・タントラ』は、晩年の釈迦が説いたと言われている。
チベットの聖画「タンカ」では、シャンバラは光り輝く二重の円で描かれている。
外側の円は地球の表面、内側の円が地球の内核、つまり地球内天体「アルザル=シャンバラ」という地球の構造を表しているのだ。

『カーラチャクラ・タントラ』では、シャンバラは7つの巨大な山に囲まれているとされている。
7つの巨大な山が世界の7大陸を意味しているとすれば、立体的に考えると、シャンバラは地球内部ということになる。
『カーラチャクラ・タントラ』によると、初代シャンバラ王「スチャンドラ」は、釈迦から直接的に教えを受けて感激し、その教えをシャンバラに持ち帰ったという。
その後、スチャンドラの子孫たちが100年ずつシャンバラ王に即位した。
と言っても、これは「予言書」である。
そして、8代目からシャンバラ王は「カルキ」という称号を与えられ、同じように子孫が100年ずつ「カルキ」に即位した。
カルキは25代まで予言されており、最後のカルキを「ラウドラチャクリン」という。
但し、これは預言書であり、飛鳥氏は全て「象徴」だと述べている。
最初のシャンバラ王の歴代数は「7」代。
次のカルキの歴代数は「25」代だが、ゲマトリアの1桁変換で「2+5=7」。
どちらも完全数「7」で、人間の数字「6」ではない。
「6」は獣の数字でもあるが、ロード・マイトレーヤも「6」である。
そして私は、フルネームも生年月日も「6」である。

「弥勒下生経」によると、弥勒は釈迦の教えを完成させて、人類を救済するという。
こうは考えられないだろうか。
釈迦の教えを受けて感動した「弥勒」が、初代シャンバラ王「スチャンドラ」になった。
そして、弥勒の子孫の「ラウドラチャクリン」が釈迦の教えを完成させて、地上界に下生する……。
歴代のシャンバラ王を象徴とするなら、例えばカルキ王、即ちカルキングだけで計算すると、1代が100年ずつの即位という事は、釈迦の時代から約2500年にあたる現在のカルキが、シャンバラ最後の王「ラウドラチャクリン」という事になる。
それが、「弥勒菩薩の再臨」という訳だ。
そうすると、須弥山はシャンバラに存在する事になる。
また、イエス・キリストは全く関係ない事になる。
その辺りは、どうなのだろうか。
シャンバラには12公国あるという。
それは、「イスラエル12支族」が存在することを示唆している。

イエスの使徒は、イエスの命令で世界に散らばった10支族の後を追った。
つまり、アルザルに移動した10支族の後を追って、2支族もアルザルに入ったのだ。
そして、シャンバラ最後の王が、12軍団を率いて北の果て(北極)から姿を現すという。
「マタイの福音書」には、次のようなイエスの言葉がある。
「私が父にお願いすれば、父は12軍団以上の天使を今すぐ送って下さるだろう」
(第26章53節)
シャンバラ最後の王「カルキ」とは、イエス・キリストなのか……。
ヒンドゥー教では、この世の終わりに世界を浄化する「救世主カルキ」が、白馬に乗って現れると予言されている。

これと同じ描写が、『新約聖書』にも登場する。
「私は天が開かれているのを見た。すると、見よ、白い馬が現れた。
それに乗っている方は、『誠実』および『真実』と呼ばれ、正義をもって裁き、また戦われる。
……(中略)……
この方の衣と腿のあたりには『王の王、主の主』という名が記されていた」
(「ヨハネの黙示録」第19章11-16節)
聖書学的に見れば、これは明らかに「イエス・キリスト」を指している。
ここで気になるのが、「天が開かれているのを見た」という記述である。
そして、「白い馬に乗った方」とは、例の「雲に乗った人の子」と対応する。
だとすると、やはり「イエス・キリスト」本人ではない事になる。
それは、弥勒の子孫の最後のカルキ「ラウドラチャクリン」だろうか。
しかし、地球内部から出てくるはずが、天から降臨するという矛盾……。
地球内部から出てきて天から降臨するのだろうか……。

飛鳥氏は、シャンバラ王が「イエス・キリスト」だと断定しているが、次のように見解している。
「シャンバラ王がイエス・キリストであるからといっても、地球内天体アルザルに常時いるというわけではない。
イエス・キリストを大王として位置づけて、その言葉を預かる人間、すなわち預言者が統治しているのである。
古代イスラエル王国の統治形態は、政治を司る王と祭祀を司る王がいた。
シャンバラを訪れた使徒ヨハネは、このうち祭祀を司る王なのかも知れない」
(「失わるた地底王国シャンバラの謎」学研)
「裏の日本こそが世界の中心であり、同時に世界の中心でもある。
そこは光で覆われた世界で、天皇である天照大神(イエス・キリスト)の影響下にある。
そして、そこを預かるのがイスラエルの預言者なのだ。
釈迦はそこを訪れた後、弟子たちにシャンバラを教え、北の果てに口が開いていると言い残した。
『聖書外典』は、地上から隠された世界をアルザルと名付け、北に向かった失われたイスラエル10支族が隠された世界として記録している。
天照大神は今は神界にあり、足場である地球に再降臨する日を待っている」
(「『竹内文書』と月の先住宇宙人」徳間書店)

釈迦はイスラエル10支族の「ガド族」の王子だった。
釈迦の弟子の弥勒も、イスラエル10支族の末裔だった可能性は十分ある。
恐らく、アルザルと太陽はプラズマ亜空間で直結していると考えられる。
我々が観測している太陽は、実は地球内天体「アルザル」なのではないだろうか。
弥勒の子孫の「ラウドラチャクリン」は、ルシファー(ミトラ)の分魂を持って、「再臨のイエス・キリスト」として天皇家に誕生する。
これが私の結論である。

では、サナト・クマーラとは結局何者なのか……。
恐らく、サナト・クマーラこそがルシファーの分魂の本体にして、永遠のシャンバラ王である。
そして、『カーラチャクラ・タントラ』に登場する歴代のシャンバラ王及びカルキは、サナト・クマーラの預言者であり、祭祀の王なのではないだろうか。
シャンバラが霊的世界という事を考えれば、シャンバラ王が「サナト・クマーラ」。
『カーラチャクラ・タントラ』で「シャンバラ王」と呼ばれる歴代の王が、地球内部の物質界「アルザル」の王だと考えられる。
私は、イエス・キリストも「サナト・クマーラ」の受肉として誕生した預言者だったと考えている。
ヴィシュヌの化身の1つ「クリシュナ」の神話は、イエスの生涯を予型していた。
ここでは、「クリシュナ=イエス・キリスト」と仮定しよう。
更に、釈迦もヴィシュヌの10大化身の1つとして数えられているのだ。
そして、ヴィシュヌの最後の化身が「カルキ」である。

「ヴィシュヌ=サナト・クマーラ」と考えても良いが、ヴィシュヌはシヴァの顔も持っている為、「シヴァ=サナト・クマーラ」と言っても良い。
但し、私から言わせると、ヴィシュヌもシヴァも人格神ではなく、普遍的な宇宙エネルギーを神格化したものである。
従って、厳密に言えば「=」ではなく、サナト・クマーラも受肉して進化を遂げた生命体なのだ。
即ち、ヴィシュヌを「ミトラ」、シヴァを「ルシファー」に置き換えても良いだろう。
話が複雑になったが、そのように考えると、「イエス・キリストの再臨」と「弥勒菩薩の下生」の意味が、自然に繋がってくる。
日本に誕生する世界天皇については別の機会に詳述するが、ここで忘れてはならないのが「イスラエル10支族」の帰還である。