
マイトレーヤのルーツは、『リグ・ヴェーダ』に登場する古代インドの太陽神「ミトラ」に遡る。
当然ながら、同じアーリア神話を共有するペルシアに端を発し、ペルシアの太陽神「ミスラ」がそれに当たる。
ミスラは「光明神」とも呼ばれ、夜明けの光明(明けの明星)のイメージから、「金星神」とも同一視された。
つまり、ミスラは「ルシファー」という事になる。
弥勒(666)のルーツが「ミスラ」である事も、それを裏付けている。

ミスラの語源は不明だが、ヘブライ語のMTR(メタトロン)から転じた可能性は否めない。
いずれにしても、「メタトロン」「ミスラ」「ルシファー」の霊的本質は同じで、それが救世主「マイトレーヤ(弥勒菩薩)」となって再臨するという事だろう。
ミスラは中世ペルシアで「ミフル」とも呼ばれていたが、それは、ゾロアスター教の「ミフルヤズド」でもある。
ミフルヤズドは特別な位置付けに置かれる重要な神で、「太陽神」「光明神」という性格上、「アフラ・マズダー」と同一神だと考えて良い。
実際に、ミスラは元々、アフラ・マズダーと表裏一体の神で、サナト・クマーラも「アフラマズダー」と同一視されている。
前者は、アリオンとルシファーの一体性を裏付けている。
また、アフラ・マズダーは「光り輝く者」の意で、ルシファーと一致する。

ミスラ信仰は、ギリシア・ローマにも伝播し、「ミトラス」と呼ばれるようになった。
ミトラスは太陽神である事から、ギリシア神話の「ヘリオス」や「アポロン」とも同一視された。
ローマ帝国では「ミトラス教」に発展し、初期キリスト教と国教の地位を争った程だった。
尚、ミトラス教は、イエスが説いた「原始キリスト教」に酷似すると言われている。
ミトラスは太陽神である為、占星術的な絵画では、ミトラスは十二星宮の中心に描かれる。
これは、イエスを中心とする12使徒に対応する。
キリスト教の祭司やミサ、水の洗礼、ブドウ酒とパンの聖餐式なども、ミトラス教に起源があるという。

また、クリスマスは冬至にあたる12月25日で、最も太陽(ミトラス)の力が弱まる時期である。
そして、冬至を境に日が長くなっていく事をミトラスの「死と復活」に見立てた、ミトラス教の儀式がクリスマスの由来となっている。
これがイエス・キリストの「死と復活」の伝説の原型になっているのだが、太陽神の「死と復活」はエジプトのオリシスとも符合する。

また、イエスが誕生した時「ベツレヘムの星」が現れたが、ミトラスが生まれた時にも天に見知らぬ星が現れたと言われている。
ミトラスとイエスの類似性は、何を物語っているのか。
ミトラスはルシファーである。
ミトラス教は、悪魔がキリスト教を模倣した偽キリスト教(反キリスト教)だ……と、当時のキリスト教徒は糾弾した。
しかし、実際には、ミトラス教を模倣したのが「キリスト教」である。
ミトラス教に原始キリスト教の要素が色濃く反映しているなら、キリスト教こそが「偽キリスト教(反キリスト教)」だと言えるだろう。
改めて詳述するが、キリスト教はそもそも、反キリスト教徒によって成立した政治結社なのだ。

イエスが生まれた時、メシアの誕生を知らせに来た東方の三博士の正体は、ミトラス教のマギだったとも言われている。
人間界的にはそうかも知れないが、天文学的には、東方の三博士は「オリオンの三つ星」を指し、御父が「シリウス」、聖母マリアは「乙女座(バージン)」、御子は「太陽」を意味するとされている。
だとすれば、イエスは太陽神ミトラスの受肉だったという事になる。
もちろん、ミトラスの分魂の受肉である。
メタトロン(エノク)の分魂の受肉だったと考える事も出来るかも知れない。
そして、ミトラスがマイトレーヤである事を忘れてはならない。

イエスは死後復活して昇天した。
釈迦が説く「弥勒菩薩の下生」は、文字通り「イエス・キリストの再臨」を意味する可能性も否めない。
肉体を物質化してヒマラヤの光のセンター(シャンバラ)から降臨したというロード・マイトレーヤの正体が、2000年前のイエス・キリストだという想像も出来る。
だが、クレームはそれを否定している。
「イエス・キリストの再臨」とは、イエス本人の再臨ではなく、飽くまでも、キリストの再臨だという。

キリストとはメシアであり、ミトラであるマイトレーヤを意味する。
だが私は、それがロード・マイトレーヤだとは思えない。
蛇足ながら、何故、ミトラス教が「原始キリスト教」に酷似していたのか。
それは、ローマにイエスの使徒がいたからに他ならない。
原始キリスト教徒だったイエスの使徒は、異邦人によって成立した初期キリスト教ではなく、ミトラス教の成立に関わっていたのだろう。
だが、ローマの国教は「キリスト教」となり、キリスト教もミトラス教の教義や密議を取り入れていったが、原始キリスト教徒たちはローマから出て行った……。

古代中国では、ローマ帝国を「大秦」と呼んでいた。
ここでは詳細は割愛するが、原始キリスト教徒は日本に渡来し、秦氏となったのである。
それ故、原始キリスト教の奥義は、神道の中に隠されているのだ。
尚、関係者より次のような指摘を頂いた。
日本の太陽神である天照大神(AMATERAS)も、子音は「MTRS」となる。
母音は「AAEA」で、「アア(Aa)、またはアイア、アヤ、アッヤ」というセム系の暁の女神となる。
「AMATERAS」は「AAEA」と「MTRS」2神合体名で、「S」は複数形を意味するという。