
アトランティス王「トート」は、紛れもなく「ムー人」の鏡と呼ぶべき人物であった。
言わば、ムー人の中のムー人、筋金入りの「ムー人」であり、ムーの大王だった。
トート(ヘルメス・トリスメギストス)は、西洋錬金術の始祖として崇められているが、決して西洋文明の祖という意味ではない。
確かに、サントリーニ島のミノア文明はヨーロッパの先進だったが、それ自体は善でも悪でもない。
トートの錬金術を物質的なものと考える西洋思想が、既にアトランティス的なのだ。
元々、錬金術は、サントリーニ島と同一文明圏だったクレタ島のミノア文明(青銅器文明)から発展した、エジプトの冶金術にルーツがあるものだと思われる。
錬金術とは、化学的な手段で卑金属から貴金属を精錬する技術で、その過程で硫酸や塩酸などが発見され、現在の化学に受け継がれている。
だが、卑金属を金に化学変化させる事は不可能であり、錬金術自体が幻想に過ぎない。
『日月神示』は、こう示している。
「金は金。鉛は鉛ぞ。鉛を金にしようとしてはならん。鉛は鉛として磨かなならんぞ」

もっとも、錬金術の究極目的は「賢者の石」を手に入れる事である。
賢者の石とは、鉛などの卑金属を金に化学変化させる触媒である。
またそれは、不老不死の永遠の生命を与えるエリクサー(霊薬)だとも言われる。
これは中国の錬丹術に受け継がれ、不老不死の仙人になる仙丹(霊薬)を作る術として広まり、水銀中毒による死者が多発した。
私は現代の錬金術師でもある。
金(カネ)を生み出す錬金術師である。
賢者の石に相当するものを手に入れ、金を生み出す事が可能となった。
しかし、現在は材料となる資金が無くて休業中である(笑)
だから、錬金術師なのに貧乏である。

話を戻すが、卑金属を金に化学変化させる物質は地球上には存在しない。
当然ながら、賢者の石を手に入れた者はいない。
錬金術の祖とされるトート・ヘルメス・トリスメギストスも例外ではない。
故・政木和三博士が、過去世でアトランティスの神官をしていた時に所有していたという「賢者の石」が、時空を超えて政木氏の手元に出現したそうだが、その物体の正体は謎だ。
トートは『ヘルメス書』の中で、「賢者の石は隠された沈黙」と記している。
どういう事か……。
飛鳥昭雄氏によると、錬金術の奥義はカッバーラの奥義「生命の樹」である。
ヘルメスが手にしている「カドゥケウスの杖」こそが「生命の樹」であり、「賢者の石」だという。
更に、「生命の樹」を具現化した三大ピラミッド複合体こそ、エノクが残した「賢者の石」そのものだと指摘。

トートが残した「エメラルド・タブレット」は、大ピラミッドの玄室の空の石棺で発見された。
飛鳥氏によると、石棺は「重力拡散の間」を構成し、それは「生命の樹」を象徴する。
故に、「エメラルド・タブレット」は「生命の樹」であり、ひいては大ピラミッドそのものだと主張する。
少し脱帽だが、まさにその通りだと思う。
「生命の樹」が示すものは、意識進化である。
究極的に、人間の魂を精錬して「金」に昇化させる事が、「錬金術」の奥義という訳なのだ。

『日月神示』は、次のようにも示している。
「白と黒を交ぜ合わせると灰色になる常識はもう役にたたんぞ。
白黒交ぜると鉛となり鉄となり銅となるぞ、更に銀となり黄金となるぞ」
「生命の樹」の地下には、全く同じ構造で「死の樹」が伸びている。
「生命の樹」の上昇が意識進化の方向性で、「死の樹」の下降が堕落の方向性である。
「生命の樹」の上昇は、オコツトがいうムー人の意識進化(シリウスA)の方向性を示し、永遠の生命を得る「真実の人間」への道なのだ。