
「創世記」に「命は人間を照らす光であった」とあったが、宇宙が誕生して「光と闇」が分けられた時には、既に人間が存在した事になる。
真面目な顔で人に話せるような話ではない。
科学者の私には、とても信じられる話ではない。
自己紹介を忘れていたが、私は科学技術系の専門学校を卒業したので、自称「科学者」である。
だが、「創世記」の記述と同じ事を主張している生命体がいる。
冥王星のオコツトだ。
「人類の誕生と宇宙の誕生は同時的出来事です」
これが何を意味するのかは不明だが、まさか宇宙空間に肉体人間が誕生したという事ではないだろう。
人間と宇宙は表裏一体の関係で、人間が存在しない宇宙は有り得ないらしい。
人体をミクロコスモス(小宇宙)、宇宙をマクロコスモス(大宇宙)と表現される事があるが、人間と宇宙が表裏一体なら、「ミクロコスモス=マクロコスモス」という事になる。
むしろ、肉体こそが「マクロコスモス」と言っても過言ではない。
精神世界では、「あなたの中に宇宙がある」と言われているが、それを現実の事として認識している人は少ないだろう。

だが、オコツトは次のように説明している。
「人間の内面とは、あなたがたが外在と呼んでいる世界、人間の外面とは同じくあなたがたが内在と呼んでいる世界のことを指します」
「本当の外宇宙というのは、あなたがたの心の中の方向にある……とでも言っておきましょうか」
そして、「宇宙は有機体の妄映」で「物質は宇宙精神の影」であり、「この影の本質を見つけ出し、この知識を獲得することこそ、今の地球人の意識に進化を与える唯一の方法」だと言っている。
カバラでは「生命の樹」の各セフィロトに、太陽系の各惑星や人体の各器官・チャクラを対応させているが、「太陽系とチャクラの関係」について、チャネラーの半田広宣氏がオコツトに質問した。
すると、オコツトはこう答えている。
「関係しているとはどういう意味ですか。それらは全く同じものです」
太陽系とチャクラが全く同じものとは……理解し難い。
オコツトによると、「人間の空間認識の在り方が元凶」で、「ミクロとマクロは対称的な方向として見なければならない」という。
私は昔から金縛りや体外離脱、インナートリップ(体内離脱)をしやすい体質で、今まで頻繁に経験してきたので何となくイメージは掴めるが、言葉で解説するのは難しい。

私の知っている限りでは、森田健氏が超能力者の孫さんのエネルギー注入により、リアルなインナートリップを体験しているので、要点を抜粋して紹介したいと思う。
『私はベッドに横になり、孫さんが離れた位置からエネルギーを送ります。
私の視界が急に狭くなったように感じました。
次の瞬間、私は自分の内臓を見ていました。
鼓動している心臓が見えます。血液の流れが見えます。
私は血の流れの中にいました。私の体はさらに縮小しました。
「ミクロの決死圏」という人間が小さくなって人体の中に入っていく映画がありましたが、あれにそっくりです。
でもそこで終わりません。
私の魂はさらに縮小を続け、細胞核のような物が見え始めました。
そこを通過し、ミクロに、ミクロにと突き進んでいきます。
もう理科で習った世界とはさよならです。
私は深い深い闇の中にエネルギーのボールのようなものが浮かんでいるのを見ました。
それをいくつもやり過ごします。そのときです。
私の前を三個のエネルギー体が先導を始めました。
瞬間に孫さんのマスター(指導霊)である事が分かりました。
マスターは孫さんの語り口を借りてしゃべってきました。
「森田さん、あれが森田さんの生まれ故郷です」
前方に一つのエネルギーの渦が見えました。
「だって、これは私の体内でしょう。
どうして体内に私の故郷があるのですか」
マスターたちは私の質問には答えず、さらにどんどん小さくなります。
さらに中心部に向かいます。
もうこれ以上小さくなれないと感じた瞬間、景色が変わりました。
私は見たことのある風景に出ていました。他の生命圏への通路が見えます。
そうです。ここはフォーカス35、つまりモンロー研究所で体外離脱して行けたもっとも高い次元だったのです。
私は、下の世界へ下の世界へと下降を始めました。
フォーカス27という輪廻転生地点を通り過ぎます。
そしていつしか三次元に戻り、私のホテルの一室に戻りました。
孫さんが見えます。そして私の肉体が見えます。
私は体内に入って小さくなったにもかかわらず、外から帰還したのです。
孫さんはまだエネルギーを送っています。
また縮小を始めました。
そしてフォーカス35へ行き、次も外から帰還しました。
これを全部で三回繰り返してくれたのです。
孫さんのエネルギー注入が終わりました。私は目を開けました。
「森田さんを三回案内しました」
孫さんが言った最初の言葉でした。』
(「自分ひとりでは変われないあなたへ」森田健/講談社)

私の場合は逆に、体外離脱したはずなのに、いつの間にかインナートリップしている事がある。
体脱して確かに霊界に来たという実感があっても、気がつけば明晰夢になっていて、「これは夢だ」という認識に変わっている事が多い。
だが、確かに最初は夢ではなかったはずだった。
アリオンは、このように説明している。
「夢の中の事は、殆どが霊界での出来事であるが、あなたがたの生体脳の中に記憶された時に現実生活の記憶と照合されてしまうので、あなたがたにはそれほど大きなショックを与えないで済んでいる」

尚、森田健氏は私と同じように、体外離脱からのインナートリップも経験しているそうだ。
そして、体脱した世界で誰ともなく問い掛けて、次のような会話をしたという。
「ここはどこですか」
「ここは、世界そのものであり、そしてあなた自身です」
「ここは私の内部ですか、外部ですか。
「私はモンロー研究所の体外離脱でここに来たのです。
だとすると外側なのではないでしょうか?」
「そうです。
本当の内側は本当の外側に行かないと行くことができません。
しかしあなたはいま、時間の空間にいます。
空間的に考えられる外側ではありません。
流れそのものに乗ったとき、あなたはいつでもここにいます」
「ここは私の肉体から最も遠い地点なのでしょうか?」
「空間的に遠いという質問でしょうか。
ここは空間ではありません。時間次元です。
時間の流れの中でしか遭遇できません。
その代わり流れに乗れば、距離はゼロです」

この事について、森田氏はこう語っている。
「内と外というのはどこで分かれているのでしょうか……。
それは視点の置き方にあると思います。
運命を変える一つめの方法、すなわち問いを発するタイプでは、視点が個である自分の側にありました。
しかし二つめの方法では時空と一体になるので、視点はいわゆる向こう側に移動するのです。
つまり体外離脱か体内離脱(インナートリップ)かという問題は、時空との一体感によって変わってくるのです。
時空と一体になれば、原因の世界に行くためにわざわざ向こう側に行く必要はないのです。
つまり私がモンロー研究所で体験し、見てきたことは、原因の世界から形作られた出来事だという意味では、体外も体内もないからです。
では、原因の世界とはいったい何なのでしょうか……。
これは心理学者ユングが提唱するところの、集合無意識という領域だと思います」
(「私は結果」原因の世界への旅/講談社)