2010年05月26日

神と悪魔が逆転したインド神話の謎

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インド・ヨーロッパ語族のアーリア人、スキタイ族の祖となった「ヒッタイト民族」の一部は、ペルシアを超えて南アジアに侵入し、インド人となった。
インド人も肌の色が黒いが、人種的にはれっきとした「アーリア人」なのだ。
ヒッタイト帝国が滅びたのは紀元前13世紀頃だが、ゾロアスター教の原型やバラモン教が成立したのも同じ頃である。
インド人とペルシア人のルーツが同じであれば、神話体系も基本的に同じである。

ゾロアスター教の聖典『アヴェスタ』に対して、バラモン教の聖典は『ヴェーダ』。
ところが、一体何が起きたのか、『ヴェーダ』では、ゾロアスター教の神と悪魔が逆転しているのだ。
モーゼのエジプト脱出のように、反ゾロアスター教徒がペルシアを脱出したのだろうか……。
「アフラ・マズダー」は、『ヴェーダ』では魔王「アスラ」とされ、仏教の「阿修羅」となった。

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だが、この仏教の魔王「阿修羅」は、空海の真言密教の根本仏にして太陽神「大日如来」のルーツにもなっている。
逆に、『アヴェスタ』の魔王「アーリマン」は、『ヴェーダ』では太陽12神の1人「アリヤマン」となっている。
また、アーリマンの配下の悪魔「ダエーワ」は、聖書でも「デーモン」とされたが、『ヴェーダ』では善神「デーヴァ」となっている。

この点は、ギリシア・ローマ神話と同じ。
ダエーワの語源であるラテン語の主「デウス」が、ギリシア神話の主神「ゼウス」、ローマ神話の主神「ユピテル」になった。
『ヴェーダ』の天空神「デャウス・ピター」は、「ゼウス」と「ユピテル」を合体させた名前になっている。
また、デャウス・ピターの子「インドラ」は、『ヴェーダ』に於ける中心的な天空神となり、仏教で「帝釈天」となったが、『アヴェスタ』ではアーリマンの配下の悪魔だった。

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バラモン教ではインドラは、火の神「アグニ」と「ヴァルナ」と共に、三位一体の最高神を形成した。
尚、「インドラ」や「アグニ」は、紀元前14世紀の「ヒッタイト条文」の中にも登場しており、ゾロアスター教やバラモン教の直接的なルーツが「ヒッタイト」にあった事が窺える。

このように、『アヴェスタ』と『ヴェーダ』は、神と悪魔の名前が入れ替わっているが、基本的な構造は同じ。
インドラが悪竜「ヴリトラ」を退治し、悪者の竜が倒されるというお決まりのパターンとなっている。
ヴリトラは、聖書のルシファーなのだ。

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そして、ティアマトが海水の神だったように、ヴリトラも水を司り、水をせき止めて干魃を起こす。
モーゼの「紅海割れの奇跡」を起こしたのも、このヴリトラだったのかも知れない。
興味深い事に、ヴリトラは「聖牛」を奪って人々を苦しめた。
牡牛は「バアル」の象徴である。
また、スサノオも「牛頭天王」という別称がある通り、バアルの投影である。

どうやら、世界の竜退治伝説は、「牛と竜の戦い」のようだ。
そして、前者が「神」で後者が「悪魔」とされているのだが、果たして真相は如何に……。
私の「善悪逆転原理の理論」は、少々複雑で簡単に説明できるものではない事をご理解頂きたい。
「善悪表裏一体」にして、太極図的な「陰陽四元論」であり、「生命の樹」が上下逆転した上に「善悪融合」を遂げるという原理で、そこに神や悪魔の名称が絡んでいる事が、複雑性を増しているからだ……。
posted by ヘンリー・クライスト(夢蛇鬼王) at 17:50| Comment(0) | 【第1章】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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