2010年05月26日

絶対神「ヤハウェ」と魔王「ルシファー」のルーツ

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アメン信仰が根付いたエジプトだったが、第18王朝のファラオ「アメンホテプ4世(イクナトーン)」がアマルナ改革を断行した。
アマルナ改革とは、「アメン」を主神とする多神教を廃止して、太陽神「アテン」を唯一神とする一神教を打ち立てた宗教改革である。
それに伴って、アメンホテプ4世は「アクエンアテン」と改名した。
このアマルナ改革によって世界初の一神教が誕生し、エジプトは混乱に陥った。

アテンは「アトン」とも発音され、後に「アドン」に転訛し、ユダヤ教へと受け継がれていった。
一方、旧太陽神「アメン」は「アモン」とも発音されるが、悪魔として貶められる事となった。
悪魔学によると、アモンはソロモン72柱の魔神の中で最も強靭で、デーモンの40軍団を配下に置き、口からは「炎」を吐くという。
もちろん、このような話は中世の聖書学者の想像の産物だが、アモンを最高位に位置づけ、口から炎を吐くとした点は無視できない。

アクエンアテンの死後、息子の「トゥト・アンク・アテン」がファラオに即位。
従来のアメン信仰を復活させ、自らも「トゥト・アンク・アメン」に改名した。
と同時に、今度は「アトン(アテン)」が悪魔と見なされるようになった。
その後、再び「アメン信仰」の歴史が始まったのだが、どうも「アテン信仰」を受け継いだ勢力が王家に残存していたらしい。
飽くまでも憶測だが、ツタンカーメンが若くして殺害された理由は、アメン信仰を復活させたからだと考える事も出来る。

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それだけではない。
第19王朝のラムセス2世の時代、奴隷だったイスラエル民族がエジプトを脱出したが、その中に「アテン信仰者」が混じっていた事は紛れもない事実である。
そのリーダー格こそが、預言者「モーゼ」という事に普通はなるのだが、既に見てきた通り、モーゼはバアル(アメン)の預言者だった可能性が高い。
アマルナ改革以前の「アメン信仰」時代、イスラエル民族はエジプトで繁栄して膨大な民となった。

だが、紀元前16世紀頃、ヒクソス人が追放され、再びエジプト人がファラオに即位すると、イスラエル人は奴隷に転落。
イスラエル人だったモーゼは、イスラエル民族を解放する為にエジプト脱出を図った。
それ以外にも理由があるとすれば、宗教上の問題である。
当時のエジプトは、多神教の「アメン」信仰に戻っていた。
モーゼは一神教であるユダヤ教の開祖とされている。
エジプトが「アメン」信仰に戻ってからも、密かに「アテン」信仰を続けていた王家の人物の系譜が、モーゼだったのだろうか。
それ故、「アメン」信仰を続けるファラオに嫌気が差して、エジプトを脱出した……。
そう考えると、非常にストレートで自然である。

しかし、イスラエル民族の繁栄と転落の背景にある信仰と、モーゼがバアル(アメン)の預言者だった可能性を考えると、全く逆の可能性が強まってくる。
つまり、表向きは「アメン多神教」だが、実態は「アテン一神教」だったエジプト王家と決別する為に、「アメン多神教」だったモーゼは、イスラエル民族を連れてエジプトを脱出した。
では何故、表の顔は「アメン多神教」で、裏の顔は「アテン一神教」だったのか。
ファラオの命運を左右する程の勢力が存在したとしか考えられない。
事実、アクエンアテンがアマルナ改革を起こした理由の一説は、「アメン信仰」の神官の勢力を抑える為の政略だったと言われている。

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ファラオは「神の子」だが、神官は「神の代理人」である。
従って、神官はファラオに対して強い発言権を持っている。
結局、アマルナ改革は神官たちの激しい反対運動により、アクエンアテン一代で幕を閉じた程だった。
しかし、「アメン信仰」を復活させたツタンカーメンは、何者かに暗殺された。
ツタンカーメン以降も「アメン信仰」は続いたが、王家の内部、または王家と神官の間で、「アメン信仰」と「アテン信仰」の熾烈な抗争が続いていたのではないだろうか。

換言すれば、王家(アテン信仰)と神官(アメン信仰)の宗教対立である。
そこでファラオは、表の顔を「アメン信仰」にする事で、神官との調和を図ってきたと考える事が出来るが、どうだろうか……。

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しかし、「アメン」と「アテン」はどちらも同じ太陽神でありながら、どちらかが悪魔とされる関係。
もともと、アテンは新しい神ではなく、太陽神の属性の1つで、太陽の光を神格化したものだった。
言わば、日の出の太陽神「アトゥム」を唯一神と定め、他の神々を一掃したのがアマルナ改革だと言っていい。
日の出が「明けの明星」を掻き消すように、アトンは「ヤハウェ」と同一視する事が出来る。
一方、バアルが太陽神としての一面を持っている以上、ルシファーも太陽神という事になる。

アメンは天空の太陽神「ラー」と習合した通り、「天空の太陽神」である。
アメンがバアルと同一神であるなら、アメンは「ルシファー」と同一神だと言える。
それは、悪魔「アモン」が口から炎を吹くように、エジプトの大地を焼き焦がす灼熱の太陽であった。
それがアマルナ改革によって悪魔に貶められ、アテン(アトン)一神教がユダヤ教のアドン(ヤハウェ)信仰に受け継がれた……。

つまり、聖書の絶対神「ヤハウェ」と魔王「ルシファー」のルーツは、エジプトの日の出の太陽神「アテン」と天空の太陽神「アメン」だったのだ。
だが、モーゼはアテン信仰ではなく、「アメン信仰」だった。
名付けて……ヘンリー・クライストの「超フロイト仮説」。
ユダヤ教が「アテン信仰」に変容した経緯についての仮説を、謹んで発表したい。
posted by ヘンリー・クライスト(夢蛇鬼王) at 13:30| Comment(0) | 【第1章】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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