2010年05月26日

ギリシア神話の神々の王位争奪戦

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聖書外典の「トビト書」では、アスモデウスは大天使「ラファエル」に退治された。
これは、ルシファーが大天使「ミカエル」に退治された事と対応する。
つまり、アスモデウスはルシファーという事になるが、デウスは「主」を意味するラテン語であり、ギリシア神話の主神「ゼウス」に当たる。
話がくどくなるが、ゼウスは木星神であり、そのルーツは「マルドゥク」。
マルドゥクは「バアル」として崇められるようになるが、バアルもセム語で「主」を意味し、ルシファーと同一神だった。

つまり、「アスモデウス=ルシファー=バアル=ゼウス」という事になるが、ゼウスだけは最高神の地位に君臨したままである。
では、ギリシア神話の「堕天使伝説」を見てみよう。
ギリシア神話の神々の初代王は「ウラノス」だったが、乱暴者の息子の「クロノス」がその地位を奪った。
クロノスは自分が父の王位を奪ったように、自分の息子に王位を奪われることを恐れ、次々と息子たちを食べてしまった。
そこで、妻のレアは密かに生んだ「ゼウス」を安全な場所に隠した。
成長したゼウスは、息子「ディオニュソス」とオリンポスの神々を味方につけ、父「クロノス」のティターン族に戦いを挑んだ。

まさに、ルシファーの軍勢が、神の座を狙って天界で反乱を起こした事件を彷彿させる。
だが、クロノスが父「ウラノス」の座を奪ったように、ゼウスも父「クロノス」を倒して王となった。
その点、ゼウスは堕天使ではない。
堕天使ではないが故に、現在もギリシア神話の最高神として君臨している。

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だが、そもそもの主神は「ウラノス」であり、ゼウスは祖父であるウラノスの仇を討つ為に、乱暴者の父であるクロノスを倒したと言える。
つまり、クロノスが「ルシファー」に対応するのだ。
その証拠に、クロノスが率いたティターン族の怪物に、「テュポーン」という竜がいた。
ゼウスは木星神であり、シュメール神話の「マルドゥク」である。
従って、ゼウスが倒したるティターン族は、「マルドゥクが倒したティアマト」という事になる。

そして、ティアマトの配下に「7つ頭の竜」がいたように、テュポーンの子供にも9つ頭の竜「ヒュドラ」がいた。
ヒュドラは後に、英雄「ヘラクレス」に倒されたが、これもゼウスがテュポーンを倒した話と構造は同じ。
マルドゥクが、ティアマトや7つ頭の竜を倒した神話がルーツになっている。
言うまでもなく、これは大天使「ミカエル」がルシファーの軍勢を倒した話と同じである。
ヘラクレスは黄金の子牛「アモン」の角を付けていたが、要は「バアル」の投影である。

「ゼウス=マルドゥク=ヘラクレス=ミカエル=バアル」

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いずれも竜を倒した神、天使、英雄だが、竜であるルシファーはバアルと同一神であり、聖書に於いてバアルは悪魔とされている。
また、バアルがエジプト神話の主神「オリシス」と同一視されるのに対し、テュポーンはオリシスに反抗する「セト」と同一視されている。
この不可解な神話の矛盾には様々な要因が絡んでいるが、ギリシア神話で重要なことは、ゼウスがティターン族を倒したという事である。
本来、ティターン族は怪物ではなく、原初の最高神「ウラノス」と、その妻である地球神「ガイア」が生み出した12神を中心とする神々である。

ティターン族は冥界に幽閉され、ゼウスを主神とするオリンポスの神々の時代が始まった。
ティターン族のルーツは明らかにシュメール神話の「ティアマト軍」で、聖書でいう「ルシファー軍」に対応する。
また、「ゼウス=マルドゥク=ミカエル」となるが、ゼウスはバアルでもあり、バアルはルシファーでもある。
そして、ゼウスが最高神の座に君臨し続けている以上、ゼウスは聖書でいう「ヤハウェ」と同一神という事になる。

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注目すべきは、ティターン族が幽閉されて以降、人間は汗水を流して労働しなければならなくなり、病や死といった運命を背負う事になったというのだ。
果たして、幽閉されたティターン族の呪いなのか……。
或いは、ゼウス(ヤハウェ)が悪魔で、幽閉されたティタン族(ルシファー)が本物の神だったのではないだろうか……。
尚、地震はティターン族が暴れる事が原因とされている。

竜と地震の関係は興味深い。
また、ポセイドンは海洋の神だが、元々は地震を司る大地の神だと考えられていた。
ポセイドンとティアマトの関連性も無視できないが、ポセイドンはゼウスの兄であり、一筋縄で解明できない部分がある。
ちなみに、ポセイドンはローマ神話では「ネプチューン」と呼ばれており、海王星の英語名になっている。

ウラノスはローマ神話で「ウラヌス」というが、これは天王星に名付けられた英語名である。
またNASAは、金星を生んだ木星の巨大火山に、「クロノス」というコードネームを付けている。
ティターンは、土星の衛星の1つ「タイタン」となり、チタンの語源にもなっている。
タイタニックもティターンを語源としているが、タイタニック号はティターン族同様に沈んでしまった。
posted by ヘンリー・クライスト(夢蛇鬼王) at 08:05| Comment(2) | 【第1章】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
三位一体の神こそが一番偉大なのではないのですか??
Posted by るな at 2012年10月26日 00:34
るなさん、こんにちは。

三位一体は表現の1つであって、
究極的には一神に帰一するのではないでしょうか。
Posted by 夢蛇鬼 at 2013年11月27日 14:21
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